筆文字のクリスマスプレゼントを施設の子供たちに届けた話
施設の子供たちへのクリスマスプレゼント
かつて、10年以上、毎年地元の児童養護施設にクリスマスプレゼントを届けていたことがあります。笑顔流泥海の本名(堀内正己)のニックネーム「ほりりん」で活動したエピソードです。
最初は、クリスマス前に欲しいプレゼントのお手紙をもらって、友人同士でカンパし合ってプレゼントを買って届けていました。
子供たちは、どんなプレゼントも嬉しいわけではなくて、流行りの人気の入手困難なゲームなどを希望するので、こちらも気合いを入れてヨドバシカメラなどに行ったものでした。
プレゼントを渡すのも、ただ渡すのではなくて、友人同士で劇団を結成してショーを企画しました。ストーリーは、いつも同じです。
子供たちが悪役に拉致されたサンタさんを救ってプレゼントとサンタさんを取り返す内容です。音響、衣装、練習とクリスマス前は忙しくなり、それでも、施設の子供たちのためにと頑張りました。
ところが、最後の数年間にはプレゼントに困るようになってきました。
というのも、昭和の時代のように、貧しくて施設に来る子供さんが激減してきたことが原因です。
平成後半から令和にかけて、虐待、育児放棄のお子さんが大半を占めるようになり、貧しくて預けられる子供さんはどんどん少なくなってきました。
一緒に暮らせないといっても、親御さんは、物は大量に与えます。施設でも、かつてはグループごとに寝起きしていたのが、個室を与えられ、大きな薄型テレビを一人で利用し、テレビゲームも沢山といった子供さんが増えていきました。
物が喜ばれる時代ではなくなってきたのです。そこで、プレゼントをどうしようかという話になってきました。
その時に考えたのは、集団生活をしている彼らなので、いつも「みんなで使ってね」「みんなのものだよ」と「みんな」、「みんな」と繰り返されるのは、もしかしたら、寂しく感じることがあるかもしれないということでした。
このような経緯で、施設にいる0歳から18歳まで、60人の子供たち全員に1人1つずつのプレゼント、同じものではない何かを届けようと思うようになったのです。
それは、僕の中では筆文字以外はありませんでした。
こうして、100円ショップで売っている3枚100円の色紙に筆文字を書いてプレゼントすることにしました。
まず、幼児さんたち、小学生、中学生、高校生の順番にその場で書いてプレゼントすることにしました。それぞれ、施設に戻ってくる時間が、部活やバイトで遅くなるので、タイミングを合わせようと、施設の先生と相談して決めました。
子供たちが目の前で楽しみにしているので失敗は出来ません。気合いを入れて書いて行きました。
結果、どんなに多くても20枚の手紙がお礼に届いていたのが、筆文字をプレゼントしたところ、ほぼ全員の子供たちからお手紙をいただきました。
子供たちも自分だけのために何かしてもらえる、自分も、また大切な存在だと、少しは感じてくれたのかもしれません。
僕も、世の中のお父さん、お母さんが、自分のお子さんに筆文字をプレゼントすれば、育児放棄や虐待が減ると信じて頑張りたいと思っています。